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過去最多の2万8351人が集まったスタジアムは、この日最大の歓喜に包まれた。延長十一回1死満塁、銀次が決勝の右前適時打。「コンパクトにいこうと思っていた。しっかり自分のバッティングができて良かった」と声を弾ませた。
延長十一回1死三塁。ソフトバンクは、浅村に対し申告敬遠。平石監督は五分五分と読んだが、相手は続く辰己にも申告敬遠し、満塁で銀次との勝負に出た。
「経験勝ち。あれが全て」。指揮官が手放しでたたえるのは、銀次が2球続いた低めの変化球を見逃し、2ボールとした場面。押し出しが許されない相手に対し、圧倒的優位に立った。
その後も落ち着いてボールを見極め、フルカウント。銀次は「前進守備だったので、ストライクを打てばヒットになるという確信があった」。卓越した打撃技術を誇る東北の安打製造機にとって、真ん中の142キロの直球を右前に運ぶのは、造作も無いことだった。
首位ソフトバンクとの3連戦は、2連敗したものの一矢報いた形だ。平石監督は「3連敗するのと、1勝するのは違う。前の2試合、たくさんのお客さんの前でふがいない試合をしてしまったが、熱い応援に応えることができて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。(狭間優作)
2019年08月16日金曜日