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<予想以上の前半戦>
東北楽天は球宴前の前半戦を40勝40敗2分けの勝率5割で終えた。右肘を手術した則本昂、開幕戦で左脚を痛めて離脱した岸の両エースを欠いた中で予想以上の出来だったと思う。
4、5月は救援陣の頑張りが光った。特に松井が昨季とは違う素晴らしいパフォーマンスで、九回をしっかり抑えていたのが大きかった。
今季の松井は直球の制球がいい。小さい曲がりのスライダーにしたことで、リリースポイントが少し前になって直球の軌道が良くなった。松井が安定したことで救援陣に「松井に何とかつなごう」という意識が出てうまく回っていた。
先発陣は完投こそなかったが、美馬、辛島、石橋らが5〜6回まで試合をつくり救援陣にバトンを渡した。5月下旬に塩見が復帰してからはさらに安定感が増したように思う。
好調だった打線は、3番に固定された浅村の存在が大きかった。ポイントゲッターとしてはもちろん、出塁率が高くチャンスメーカーにもなれて、4番島内がうまくつなぐことによってウィーラー、銀次、ブラッシュで得点できた。
前半戦終盤には引き分けを挟んでの10連敗を味わった。この時期は疲労がたまり身体的にきつくなる。東北楽天の投手陣も球速は落ちなくても球の切れが普段より悪くなり、空振りを取れなかったりポップフライに仕留められなかったりしていた。
打線は得点源だった浅村、ウィーラーが同時に調子を落としたのが痛かった。代わりに7番だったブラッシュを上位に置いたことで下位が薄くなった。相手投手から見れば「下位打線は大丈夫」と攻めやすくなった。
<3番浅村で得点力>
とはいえ、10連敗しながら借金がなかったことはプラスに捉えたい。先発に岸と則本昂の二枚看板が戻り、チームにとって明るい材料がそろった。ここから再開幕という感じで臨める。
今後、クライマックスシリーズ進出や優勝争いに絡むには、岸、則本昂の両エースがどれだけ貯金をつくれるかがポイントになる。後半戦はそれぞれ10試合くらいの登板があり、2人で貯金10を積み上げられれば優勝争いは十分可能だ。
打線はウィーラー、ブラッシュの状態にもよるが、浅村を3番に戻すことができる状況になれば得点力は上がってくる。
東北楽天には、もう一度首位ソフトバンクにしがみつくような戦いをしてもらいたい。2位や3位でいいと思うと他球団に足をすくわれる。意識を高くして後半戦を戦い抜いてほしい。
[やまむら・ひろき]スポーツコメンテーター。山梨県出身。山梨・甲府工高から95年にドラフト1位で阪神入団。近鉄を経て05年、分配ドラフトで東北楽天に移籍。先発や中継ぎの右腕として活躍し、12年に引退。通算成績は225試合で31勝44敗2セーブ、防御率5.01。43歳。
2019年07月19日金曜日